最近、食のDIYにハマってます。
普通は買うものを「自分で作ってみよう」というわけです。
今回は、納豆を自分で作ってみた、という話です。
昔の納豆の作り方
家で作れる「納豆の作り方」の話の前に、伝統的な納豆の作り方の話をします。
昔の納豆の作り方です。
日本古来の伝統的な納豆は、納豆菌が大量に生息する稲藁を用いる藁苞納豆である。乾燥させた稲藁を熱湯に浸して雑菌を死滅させ、蒸煮した大豆を熱いうちに詰め込む。すると、耐熱性の高い納豆菌の胞子だけが生き残るので、40℃で一昼夜保温することにより、納豆菌が繁殖して納豆ができあがる。藁は通気の確保に好都合であり、良質の納豆を育む
中島春紫.日本の伝統 発酵の科学
発酵の科学によると、納豆菌というのは熱にとても強い菌で、100℃の熱湯に10分煮沸しても死にません。
伝統的な納豆な納豆の作り方は、稲わらにいる、その他の雑菌を熱湯で殺し、納豆菌のみにした稲わらで、蒸した大豆を包み発酵させる。
というのが、伝統的な納豆の作り方です。
が、現在、市販されている納豆は稲わらで作っていません。
シャーレや試験管で作られた納豆菌の方が衛生的だし、臭いも少ない、味も良い、効率的に大量生産できる。
ということで、大正時代に宮城野菌という納豆菌が培養されたそうです。
現在の市販されている納豆菌の始祖です。
なので、納豆の品質は全国どこでも同じになった、という歴史があるそうです。
いわば、納豆菌の天下統一ですね。
現在、スーパーに様々な納豆が売られていますが、菌は宮城野菌の子孫です。
スーパーで売られている納豆の違いは、大豆の種類、大粒、小粒、ひき割りなどで、納豆メーカーは商品の差別化をしています。
というわけで、食のDIYの目線でいうと……。
つまり、自分作ろうということですが。
菌は同じだが、豆の種類を選べる、豆の状態を選べる、というのは面白いポイントなのかな、と思います。
だって、豆なら、すべて納豆になるわけで、小豆でも、ひたし豆でも納豆になります。
イロイロ混ぜてカラフルな納豆も作れます。
家で作れる納豆の作り方
では、家で作れる「納豆の作り方」の話をします。
うおつか流台所リストラ術と発酵の科学、から引用します。
僕が納豆を作ろうと思ったきっかけです。
水に一晩つけておいた大豆を軟らかくゆでます。沸とうしたら弱火で20分、保温調理を20分、ザルで湯を切り、マヨネーズビンに移します。そこに残しておいた2分の1パックの納豆入れてよく混ぜ合わせ、少しすき間をあけてふたをのせます。これを24時間、40度前後の場所においておけば、大豆はみ~んな納豆になっています。
魚柄仁之助著 うおつか流台所リストラ術 ひとりひと月9000円
市販の納豆には生きた納豆菌が含まれているので、これを種にして家庭で納豆を作ることも可能である。原理的には蒸した大豆に種の納豆を混ぜて保温すれば良いのだが、納豆菌の生育には大量の酸素が必要なので、通気に留意する必要がある。通気が不十分だと蒸し豆のまま納豆にならず、湿度が低すぎると納豆になる前に乾燥してしまう。
中島春紫.日本の伝統 発酵の科学
これで、説明を終わりにしてもいいくらいですが。
もう少し詳しく解説します。
特に、保温が謎ですよね?
24時間、40度前後の場所?
特別な器具が必要?
いやいや必要ありません、どの家庭にも一か所、40度前後の場所があるんです。
納豆の作り方の流れを整理してみましょう。以下の通りです。
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乾燥大豆を一晩水にひたす
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水にひたした大豆よく茹でる
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茹でた大豆の湯を切る
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市販の納豆と茹でた大豆を混ぜる
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24時間 40℃で保温する
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冷蔵庫に入れて24時間
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完成
発酵の科学を読むと、市販されてる納豆の製造工程も、おおむねこのような作り方です。
4.の、「納豆と茹でた大豆を混ぜる」か、「培養された納豆菌を散布する」かの違いです。
乾燥大豆を一晩水にひたす
乾燥大豆をサッと洗って、一晩水にひたします。
水にひたした大豆は2倍くらいに、ふくらみます。
夜寝る前にひたしておけば、翌朝に茹でられます。
面倒くさい?
では、大豆の水煮を買いましょう。
水にひたした大豆を茹でる
水にひたした大豆を茹でます。
吹きこぼれやすいので、フタをせずに。
アクがよくでるので、何回か、おたまですくってください。
水から茹でて、沸騰したら中火にし、だいたい20分。
火を止めて、フタをして20分放置します。
これで、いい具合に茹で上がります。
硬かったら、時間を足して調整してください。
参考まで、僕が買った乾燥大豆のパッケージには以下のように書いてました。
①やさしく水洗いした豆に4~5倍の水を加え、 6~12時間程度水に浸し、吸水させます。②つけ水のまま中火で煮ます。③沸騰したら弱火にします。 大豆の皮はむけやすいので強くかき回さず豆の芯が やわらかくなるまでゆっくり煮ます。※時々水を足して豆が水面から出ないように注意し、アクをすくってください。④鍋から豆を数粒取り出して、芯まで煮えているか確認し、数回に分けてお好みの味付けをします。
茹でた大豆の湯を切る
茹でた大豆の湯を切ります。
茹で汁に、栄養が溶け出ているので、味噌汁、煮物などにして使いまわすと良いかと思います。
市販の納豆と茹でた大豆を混ぜる
市販の納豆と茹でた大豆を混ぜます。
納豆が種菌の役割をします。
僕は納豆に少し大豆の茹で汁を加えてから混ぜています。
温度は気にしなくていのかって?
大丈夫、ヨーグルト作りに使う乳酸菌は繊細な子ですが、納豆菌は100℃でも死にません。
24時間 40℃で保温する(冷蔵庫の上に置く)
市販の納豆と茹でた大豆を混ぜたら、「24時間 40℃で保温」します。
ヨーグルトメーカーがいる? いやいや、いらないですよ。
うおつか流台所リストラ術に書いてあったんですが、納豆と茹でた大豆を混ぜたら、その容器を冷蔵庫の上に置いておけ、というのです。
冷蔵庫の上が庫内を冷やすための放熱板になっていて、夏でも冬でもポカポカなのだと。
実際にさわってみると分かるんですが、確かに人肌くらいの温かさです。
この熱を利用します。
あと、発酵の科学によると、納豆菌の育成には大量の酸素が必要なのでフタはしないこと。
うおつか流台所リストラ術にも、少しすき間をあけてフタをのせろ、とあります。
僕はキッチンペーパーをかぶせて、動かないように輪ゴムで固定しています。
冷蔵庫に入れて24時間
冷蔵庫の上に24時間、置いといた容器がこちら。
表面が納豆っぽい感じがしますが、ネバネバが弱いです。
これを冷蔵庫に入れて24時間、で完成です。
まとめ
納豆の作り方は、ヨーグルトを自作するのと似ています。
似てますが、はるかに納豆の方がカンタンです、特別な機材も必要ありません。
コスパは作る手間を考えると、微妙だと思います。
うおつか流台所リストラ術によると、買うよりも安いと書いてますが。
まあ、良いんです。
僕は楽しいから作っているんですから。
というわけで、納豆は種菌用のタレなし納豆しか買わなくなりました。
何度か作ってみて分かったんですが、意外なメリットがあることに気付きました。
明らかに、ゴミの量が減ったんです。
確かに、納豆のパックって意外とかさばりますからね。
参考になれば。