学生の時(2008年頃)に学校の先生が主催した格安旅行ツアーに参加し、フランスのパリに旅行に行った。
この時の経験は今でもたまに思い出す事があるので書いてみます。
○ 滞在期間が長い海外旅行|滞在中の問題
ツアーと言っても、ツアー参加者と泊まるホテルが一緒というだけで、滞在中は全て自由行動だった。
みんなでルーブル美術館に行きましょう、みんなでオルセーに行きましょう、夕飯はみんなでレストランで食事をしましょう、という事が一切ないプランだった。
しかも、滞在期間は10日間で、その間は宿泊先のホテルも一切変更無しだった。
僕は旅行会社が主催するツアーに参加した事がないけど、きっとツアーというモノは、色々と手厚いフォローがあったり、旅行中の段取りも丁寧に組まれているのが、ツアーというモノだと思っているんだけど、どうなんだ?
ツアーというモノはこんな自由なんだろうか?
ただ、全て自由というわけではなく、単独行動は原則禁止だった。
だから、滞在中は友人とペア、あるいはトリオを組んで行動するのがルールだった。
相方とは宿泊するホテルでは同じ部屋になり、10日間寝食を共にする事になる。
僕は、友人のH君と相部屋になり、一緒に行動する事になった。
さて、10日間のノープランツアーで必然的に問題になったのが食事だった。
滞在先のホテルでは朝食は出たが、昼と夜は出ない。
レストランやカフェに入って食事をするのは、言葉の壁もあるし、何より高くつく。
僕もH君も旅費に余裕があるわけではなかった。
そこで、ツアー主催者であるK先生は「スーパーが結構いいぞ」と教えてくれた。
滞在中、宿泊していたホテルの道路を挟んで向かい側に、スーパーのチェーン店が丁度よくあったので、行ってみたら「結構いいぞ」という理由が分かった。
スーパーでは、パンを始め、様々なメーカーの生ハム、チーズ、などが売られていて、特にビールやワインなどがとても安く売られていた、しかも、どれも美味そうだった。
そして実際に美味かった。
なるほど、これは結構いい!
例えると、とてもリーズナブルなS城石井みたいな感じだった。
さすがはパリのスーパー。
特に美味かったのはなんと言っても、チーズとハムで、根本的に牛と豚が違うのだろうか?
まあ、風土も違うし、これは一体何だ?
今まで日本で食べていた物は何だったのか?と思うくらいに美味かった。
・ 美味しい物は3日で飽きる
しかし、人間とは不思議なもので、3日も同じものを食べると飽きてしまい、滞在4日目には、パンやチーズやハム以外の食べ物を探すようになった。
しかし、スーパーにはパンやチーズやハムの類いの食べ物しか無かった。
もちろん、それ以外の食べ物も売ってはいたけど、調理しないと食べられないものだった。
やはり、火を通さないで食べられる物だけでは食事を済ませるのは限界があった。
「何か違う物が食べたい」という話をK先生に相談した所「生牡蠣が美味いぞ」という事を教えてくれた。
なるほど、生牡蠣か。
生で食べられるなら、それもアリだ。
しかも、美味いなら大いにアリ。
というわけで、さっそく、H君とスーパーに行って探してみたが、生牡蠣は見つからなかった。
しかし、我々は 「いやいや、ここであきらめてはいけない、今日こそは違う物を食べよう」と、地下鉄一駅分歩いて、ついに隣駅で、生牡蠣が売ってる個人経営の魚屋さんを見つけた。
何で、歩いたんだ?という話になるが、もしかしたら、いつも普通に地下鉄で通過していた所に穴場があるかもしれないから、と考えたからだ。
そして、実際にあった。
まさに、野生の勘。
・ 英語が通じない
さあ、生牡蠣を買おうと思って値札を見たら意外と高い。
これ?1個の値段なの?高くない?
値札は当然フランス語で書かれているので、さっぱりわからない。
しかも、悪い事に英語が通じない。
ハウマッチ?
プリーズ、ズィス。
ワンツースリーすら通じない。
パリの下町に住む人はフランス語しか使わないのだろう、この店も地元民しか利用しない
に違いない。
共通語とは言え、母国の言葉じゃないんだし考えてみれば、当たり前だ。
日本もそうだ。
一体この人達、何を言っているの?
店の看板娘風のベッキーを2回りくらい大きくしたような、白人の姉ちゃんと問答する事、15分。
どうやら、
- 生牡蠣は数個単位のバラ売りはしていない
- 生牡蠣はダース単位で箱売りしかしていない
という事が分かった。
言葉というのは通じなくても何とかなるものだ。
ベッキー2倍の姉さんは、親切にナイフを使った生牡蠣の開き方も教えてくれた。
とても優しい。
K先生から生牡蠣の開き方はとても難しいと、聞いていたがベッキー姉さんのやり方はとても簡単そうだった。
この辺のやり方に関しては言葉はいらない。
分かりやすい。
無事にホテルに帰って生牡蠣を食べ、優雅に白ワインを飲みながら
H君と言葉が通じなくも何とかなるんだから
言葉が通じれば、どこに旅行に行ったって余裕だね
という、ような話をした。
そりゃ、言葉が通じれば便利だけど意外と何とかなる事が分かった。
○ 自分の意思を伝えるのに必要なモノ
話は少し変わるが、買い物なんて僕の場合は言葉が通じる日本の方が不自由する事が多い。
僕の声は低く、喋り方はあまり口を動かさずボソボソとしゃべる方なので、発した声は篭った音になってしまう。
それに、大きな声を出す事と、声を張ってしゃべるのが苦手だ。
したがって、僕は人と話していると、喋っている内容や自分の意思が正しく相手に伝わっていない事がよくある。
例えば、外で知らない人に道を尋ねた時、かなり高い確率で「ん?」と聞き返される、
コンビニのレジで会計をしている時に店員さんに「袋に入れますか?」と聞かれたので、僕は「いりません」と答えたのに、商品を袋に入れて渡されるなんて、いつもの事だ。
念のため重ねて書くが、これは日本にいる場合の事を書いている。
僕は「他人に自分の意思を伝えるという事は本当に難しいのだなぁ」と道端で、あるいはコンビニでよく思うのだが、何故かパリでは何とかなった。
僕は「僕の声」だけでは、人にうまく伝えられない事を知っているので、知らない人に道を聞く場合は、地図を指で指し示しながら近づき「すいません」と声をかけるようにしている。
こうすれば相手が、僕の「すいません」が聞き取れなくても「道が聞きたい」という意思は何となく伝わるはずだ。
コンビニで会計をしている時に店員さんに「袋に入れますか?」と聞かれた場合は、ゆっくりと手を胸の前で何回か左右に振りながら「いりません」と答えるようにしている。
こうすれば相手は「いりません」が聞こえなくても、店員さんは商品を袋に入れずにそのまま出してくれる。
感じは悪いかもしれないが「いりません」を言わずに、手のジェスチャーだけで意思を伝えても、結果は同じだという事が最近分かった。
「いりません」という言葉が無くても「いらない」という意思は店員さんに伝わっている、という事になる。
○ まとめ|意思を伝えるのに大事なのはエネルギー
他人に自分の意思を伝えるのに必要なのは言葉では無いのかもしれない。
大事なのはエネルギーですね。