今回は金融リテラシーがチェックできる5つの質問について紹介します。
5つの質問とはLIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略 LIFE SHIFTという本で紹介されている「ビッグ5」です。
金融リテラシーのおおよそのレベルは、以下の五つの問いに答えることで簡単な自己診断ができる。「ビッグ5」と呼ばれる問いだ(正解は章末)。
Q1 あなたが銀行に100ドル預けていて、利息は年に2%だとする。預金を引き出さない場合、5年後にはいくらになっているか?
Q2 預金の利息が年に1%で、インフレ率が年に2%だとする。1年後、あなたがその口座のお金で買えるものは増えるか、変わらないか、減るか?
Q3 「一つの企業の株式を購入することは、投資信託を買うより一般に安全性が高い」──この主張は正しいか、間違っているか?
Q4 「15年物の住宅ローンはたいてい、30年物の住宅ローンに比べて月々の返済額は多いが、返済する利息の総額は少なくて済む」──この主張は正しいか、間違っているか?
Q5 金利が上昇したとき、債券の価格はどう変動するか?
リンダ・グラットン; アンドリュー・スコット. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
以上、5つの質問に答えられるでしょうか?
答えられるとして……、理由まで説明できますか?
僕は以上の5つの質問を初めてみたとき、よく分かりませんでした。
「なんとなく、こうかな?でも何でだ?」そういう人が多いんじゃないでしょうか?
この五つの問いにすべて正解できれば、あなたは金融リテラシーで上位4分の1に堂々と入れる。アメリカ人を対象にした調査では、全問正解できた人は4分の1どころか、約15%にすぎない。Q1~Q3なら、すべて正解できる人はもっと多い。ドイツでは約半分、日本では25%が3問すべてに正解する★12。
リンダ・グラットン; アンドリュー・スコット. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
※ Q1〜Q5の答えは以下のとおりです。
- Q1 110ドルあまり
- Q2 減る
- Q3 間違い
- Q4 正しい
- Q5 下がる
この記事では、ライフシフトで紹介された「ビッグ5」の答えと、なぜそうなるのかについて、僕が勉強した成果をシェアします。
ちなみに、ライフシフトを読んだことがない人が誤解しないようにことわっておくと、ライフシフトは「これからの生き方」をテーマにした本で、お金のことを主なテーマにした本では無いんですが、著書のなかで2つの章でお金のことについて書いてます。
第2章 過去の資金計画
教育・仕事・引退モデルの崩壊
第7章 新しいお金の考え方
必要な資金をどう得るか
リンダ・グラットン; アンドリュー・スコット. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
ライフシフトは「100年時代の人生戦略」をテーマにした本です。
ライフシフトによると100年時代(100年ライフ)とは、約100年前の1914年に生まれた人が、100歳まで生きる確率はわずか1%でしたが、2007年生まれの人の50%は107歳まで生きると推測されているそうです。
ざっくりいうと、「現在、50歳未満の人達は超長生きするよ」と書いています。
僕は1985年生まれ(36歳)なので、100年ライフを生きる可能性があります。
ライフシフトでは……。
- あなたが60歳ぐらいでリタイヤしたとしても、あなたにはまだまだ長い人生がある。
- リタイヤ後の人生を充実して生きていける、資産を持てる?
- 生まれて、勉強して、働いて、60歳で引退して、70歳くらいでポックリ死ぬという……、先輩たちの生き方(3ステージの人生)は参考にならない。
- 資産といってもお金だけじゃない。
- 100歳まで生きるかもしれないうえで、あなたのワークライフバランス(有形資産と無形資産)は大丈夫?
だいたい、こんなことが書いています。
ライフシフトは「長生きできるね?ラッキー!」という本ではありません。
100年生きるかもしれない人たちのための、いわばサバイバル指南書です。
僕がライフシフトを読んで感じたことはイロイロあるんですが、その中の1つが「金融リテラシーが無いとまずい」ということでした。
というわけで、この記事の冒頭で引用した「ビッグ5」の答えとその解説をします。
- Q1 あなたが銀行に100ドル預けていて、利息は年に2%だとする。預金を引き出さない場合、5年後にはいくらになっているか?
- Q2 預金の利息が年に1%で、インフレ率が年に2%だとする。1年後、あなたがその口座のお金で買えるものは増えるか、変わらないか、減るか?
- Q3 「一つの企業の株式を購入することは、投資信託を買うより一般に安全性が高い」──この主張は正しいか、間違っているか?
- Q4 「15年物の住宅ローンはたいてい、30年物の住宅ローンに比べて月々の返済額は多いが、返済する利息の総額は少なくて済む」──この主張は正しいか、間違っているか?
- Q5 金利が上昇したとき、債券の価格はどう変動するか?
- まとめ
Q1 あなたが銀行に100ドル預けていて、利息は年に2%だとする。預金を引き出さない場合、5年後にはいくらになっているか?
答え
110ドルあまり。
リンダ・グラットン; アンドリュー・スコット. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
答えは「110ドルあまり」です。
言い換えると「110ドルくらい」ということです。
我々が普段使っている「円」ではなく「ドル」で表現されていますが、ドルでも円でも理屈は同じです。
答えが「110ドルあまり」というのがポイントで、「110ドル」ではありません。
100ドルの2%ですから、1年の利息は2ドル、それの5年後………、だから「ああ、答えは110ドルか?」と思ったひとはかつての僕と同じです。
僕も最初はそう思いました。
「預金を引き出さない」ので、2年目は102ドルが元本になって2%の利息がつきます。
3年目は102ドルの2%の利息をプラスした金額が元本になります。
これが、5年経つと110.4ドルです。
この仕組みが「複利」です。
ちなみにこの計算は電卓を使うとカンタンに計算できるのでやってみてください。
電卓で100×1.02=102と計算して、4回=(イコール)を押すと計算できます。
100 * 1.02 * 1.02 * 1.02 * 1.02 * 1.02
= 110.40808032
複利元金が生んだ利息を次期の元金に組み入れることによって元金だけでなく利子にも次の期の利息がつくこと。元利合計は雪だるま式に増えていく大江英樹.知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生
「複利っちゅうのは、投資で得られた利益も元本に含めてそのまま運用する方法や。再投資型が複利やな。それに対して単利っちゅうのは、投資で得られた利益は引き出して、元本だけを運用する方法や。天野敦之.会計の神さまが教えてくれたお金のルール
Q2 預金の利息が年に1%で、インフレ率が年に2%だとする。1年後、あなたがその口座のお金で買えるものは増えるか、変わらないか、減るか?
答え
減る。
リンダ・グラットン; アンドリュー・スコット. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
「インフレ???えーと、お金の価値があがるんだっけ?減るんだっけ?どっちだったかな……」
僕もそんな状態でしたが、今は分かります。
インフレとは「物価が上がる」ということです。
インフレ
モノの値段が上昇すること。モノの値段が上がるので、それを買うためのお金の値打ちは相対的に下がる。デフレはその逆
大江 英樹. 知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生
預けたお金が利息で年に1%増えますが、インフレでモノの価値が2%が上がるという状況です。
というわけで、1年後その口座のお金で買えるものは減ります。
Q3 「一つの企業の株式を購入することは、投資信託を買うより一般に安全性が高い」──この主張は正しいか、間違っているか?
答え
間違い。
リンダ・グラットン; アンドリュー・スコット. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
株式投資?投資信託?なんのこっちゃ?
僕もそうでした。
「一つの企業の株式を購入することは、投資信託を買うより一般に安全性が高いか?」
この問いを言い換えると「1つの企業に投資するのと、お金のプロに任せて複数の企業に分散して投資してもらうのと、どちらが安全ですか?」ということになります。
こう、問われると……、なんとなく答えは後者ですよね?
お金の本を読んでいると必ず株式投資の話がでてきて、1つの会社(個別銘柄)に投資するより、「複数の会社に分散して投資をしなさい」と書かれています。
そして、その話のくだりで必ず「投資信託」のことについての話がでます。
投資信託
投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品
大江 英樹. 知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生
Q4 「15年物の住宅ローンはたいてい、30年物の住宅ローンに比べて月々の返済額は多いが、返済する利息の総額は少なくて済む」──この主張は正しいか、間違っているか?
答え
正しい。
リンダ・グラットン; アンドリュー・スコット. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
これは「借金は早く返したほうが得ですか?」ということです。
これは、早く返したほうが得です。
Q1のお金が増える仕組み(複利)が逆に働くからです。
この仕組みを知ったとき安易に借金をするべきでは無いことがよく分かりました。
複利はマイナスにも威力を発揮するから、時間をかけて返済するほど損をする。
だから仮に毎月の返済額を抑えるために35年ローンを組んでいたとしても、繰上げ返済でなるべく早く返す
山崎元,大橋弘祐. 図解・最新
難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!
仮に家のローンが金利2%だとしたら、早く返すだけ、2%で運用しているともいえる。
リスクゼロで確実にプラス2%で運用できる方法なんて今はないから、全力でローンを返したほうがいい。返済に勝る運用はないからね
山崎元,大橋弘祐. 図解・最新
難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!
Q5 金利が上昇したとき、債券の価格はどう変動するか?
答え
下がる。
リンダ・グラットン; アンドリュー・スコット. LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略
まず「債券ってなんだよ?」ってなりますよね。
僕もそう思いました。
債券とは国、自治体、会社が出す「借金証書」のようなモノです。
したがって、債券を買うということはお金を貸すことです。
例えば、「国債を買う」とは国にお金を貸すということです。
国債
国が発行する債券のこと。いわば国が負っている借金の証書
国公債
国だけではなく、地方自治体や政府団体等が発行する債券の総称
社債
事業会社が発行する債券のことを社債、国や地方自治体など公の機関が発行するものを公債という
大江 英樹. 知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生
では「金利が上昇したとき、債券の価格はどう変動するか?」なんですが、金利と債券の波の動きは逆になるんだそうです。
したがって、金利が上昇したら、債権の価格は下がるということです。
なので、答えは「下がる」なんですが、なんでそうなるの……?と思いますよね?
よく分からないなぁ……と思っていたらピッタリの答えが以下のとおり。
たとえば、年率三%のクーポン(利付債の利子部分)があり、元本一〇〇円に対して同額の一〇〇円で償還される債券があるとします。
このとき、世の中の金利が三%より低くなれば、この債券は一〇〇円以上の価格でも買いたいという人がふえるでしょう。
その場合、債券価格は一〇〇円よりも高くなります。反対に、世の中の金利が三%より高くなれば、この債券を一〇〇円で買うことに魅力はありませんから、一〇〇円より安い価格でないと買い手がつきません。
結果、この債券は買い手が買ってもいいと思う値まで価格が下がります。
このように、金利が下がると債券価格は上がり、金利が上がると債券価格は下落します。
山崎元. 学校では教えてくれないお金の授業
まとめ
というわけで、ライフシフトで紹介された「ビッグ5」から出発した、僕なりの金融リテラシーの勉強結果をシェアしてみました。
ライフシフトはお金の本というよりは生き方の本ですが、僕にとってライフシフトはお金のことを考える良いきっかけになりました。
これからも、勉強は続きます。